ジョージが繋ぐ

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ジョージが繋ぐ

「ホントにでっかいザリガニやなぁ。」 翌朝、亮輔が大樹に水換えの仕方を 教えてくれた。 小さいプラケースじゃ可哀想と言うことで、 亮輔が少し大きめなプラケースを貸してくれて、 大きなケースに移動したジョージ。 玄関で大樹は嬉しそうに覗き込んでいる。 「大樹ー。早くしないと遅刻するよー!」 「はぁい!」 いそいそと朝御飯を食べ、学校の準備をして また、ジョージのもとへ行く。 “ジョージのおかげで準備がはやくなったやん! いいことやねぇ。ふふふ。” 「大樹ー。連絡ノートもカバンに入れたぁ?」 「入れたぁ!ちゃんと渡しとくねー!」 「うん!よろしくねー!そして、そろそろ 学校行く時間やよー!」 「はぁーい!」 ジョージを飼い始めて、早速、大樹の行動が いい方向へ進んでる気がする。 生き物がいるのは、やっぱり、プラスの事が多い。 夕方、大樹は元気に帰ってきた。 ガチャン! 「ただいま!ジョージ!!」 バタバタバタバタ 「ただいま!お母さん、はいコレ!!」 勢いよく渡されたのは廣崎からの『交換日記』。 「お帰り~。ありがとう。ジョージのが 挨拶先なのね…。」 「あはは!ごめーん!児童館行ってきていい?」 「いいよー。気を付けてー。」 「はぁーい!行ってきまぁす!」 相変わらず、嵐のような子だ…。 一息つきながら、『交換日記』を開いた。 ──────────────────── いつもノートで、あたたかいお言葉を ありがとうございます! 雨で延び延びだった課外授業、 無事に終わらせることができて、 ホッとしています。 大樹サンのてるてる坊主のおかげですね! てるてる坊主の写真楽しみにしてます。 あのザリガニ、すごいですよね。 私も久々にあんな大きなザリガニを見ました。 相澤さんはザリガニ苦手なんですね…。 何だか、すみません。 しかし、苦手なのに飼育してくださる その気持ちがすごいですね! ありがとうございます! ザリガニの飼育、大変でしょうが、 よろしくお願いします。 ザリガニの名前…。 ジョージ! いい名前ですね。 でも何でジョージなんでしょう? ちょっと笑ってしまいました。 生き物を飼育することは、心の成長にも 繋がるので、良いことだと思います。 何かあったらいつでもご相談ください。 廣崎 ──────────────────── 「あはは。今回の返事、かなり長いやん! しかも、ほぼ、ザリガニの話やし。」 ノートを読みながら声をあげて笑ってしまった。 でも、今回は確実にジョージが私と廣崎を 繋いでくれている。 そう考えると、ジョージもいいやつかも。
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