始まり

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始まり

アンナ「迷子‥‥しかも、この年になって迷うなんて思ってなかったわ」 近くの町で買い物をする それが私の目標だったはずなのに なんで私は森にいるのだろう アンナ「……暗いし、何にもないし どうしろって言うのよ ぼやいたって仕方ないわね。はぁ……」 暗くなりつつある空を見上げ前に進み続けた 夜が近づくにつれてカラスの声や動物の声が 異様に響いている気がして不安が心を支配していく アンナ「早くどこでもいいから寒さを凌げる ところを」 焦りから足取りはどんどん速くなっていった 草木しか見えない中を走る私は救われるのか ここで死ぬのか その二択で問われたなら救われることはないんだろうなと思っていた なら足を止めていいんじゃないかと私の中で 何かが囁いた気がして背筋にぞわりと怖気が走る それは黒くもやもやしたもので、その影はずっと私の近くにいたのだと思い知った アンナ「だめね私ったら。弱気になるのが 悪い癖だわ」 ため息をついて気持ちを整える 私は止まらず前に進むことを選んだ 寒さと暗闇はどんどんと濃くなっていくが歩く 中で私はひとつの希望を見つけた きっとここなら私は寒さを凌げる 安心感がそこにはあった もしなにかあったらどうすればいいだろう 不安は消えてくれなかったがいくしかない ゆっくりと扉を叩いて待つことにする ??「おやおやこんな夜更けに 遭難でもされましたかな?」 出てきたのは老人?で人に会えたことがより わたしの不安を消してくれる アンナ「はい、遭難してしまって 夜に道を進む訳にもいかず困っているんです 泊めてもらうことはできますか?」 申し訳なくて声は虫が泣くようなくらい か細くなってしまう モブ爺「なに、謙遜しなくてもいいじゃろう 夜道は危ない。泊まっていきなされ」 こちらが一方的に押しかけた形だというのに ここまで愛想よく接してくれる人が他にいただろうか 心が微かに温かくなった アンナ「ありがとうございます 泊まれなかったら私はどうなっていたか 本当にありがとう」 深々と頭を下げ感謝の意を示す モブ爺「若い者が気にしすぎは良くない さぁ、中へ。わしの事はモブ爺と呼んでおくれ おまえさん以外にも遭難者がいるから 挨拶をしてはどうかのう? ではわしは部屋に戻らせてもらうよ」 モブ爺はその場からゆっくり去っていった 中に入れた安堵感から体が気だるくなってしまう 疲れ以上に中にいると言われた人たちが気になる けれど会っておくべきだろうか もし、何かあるなら助けてもらう それがいいのかもしれない ゆっくり体を労りながら進むと 少し歩けばそこには広間があって暖かさが身を包んだ。こんな場所があるなんて思わず アンナ「すごい……」 と声をだし見とれていると声が聞こえた ??「あら、新しい方。貴方も不運ね」 アンナ「っ……貴方は?」 周りを見渡すしているところで声をかけられて慌てて振り向くとそこには複数人の人が立ってる 驚いて少し心臓が跳ねてしまった サンドラ「あぁ、驚かせてごめんなさい 私はサンドラ。貴方と同じ遭難者よ ここにいる人たちはみんなそう 皆、歓迎してくれると思うわ」 自らに向けられたその手におずおずと手を重ねて 案内されるまま人がいる方へと進む ソフィア「おや、可愛らしい人だね。ようこそ 寒かったでしょう。僕はソフィア 暖まるといい」 クリス「今宵は随分と遭難者が多いらしいな 俺はクリス。少しの間だと思うがよろしく頼む」 マイク「俺はマイク。よろしくな 仲良くしてくれ」 スーザン「皆、少しは静かにしてやったらどうだいこの子が驚いているだろうに 皆がすまんね。アタシはスーザン よろしく頼むよ」 ニック「よろしくね。俺はニックだよ ゆっくりしてていいから」 アンナ「あ、皆さんごめんなさい ちょっと頭が混乱していて 私はアンナといいます 今宵はよろしくお願い致します」 とりあえずと思ってペコリとお辞儀をする 改めて見渡した彼らの顔には笑顔が浮かんでいてほっとした 良かった。怖い人達ではなくて ロディ「おや珍しいね。僕はロディ、よろしく あっちに食事があるけど、きみも食べてきたら どう?美味しいよ?」 その言葉を聞いてそう言えばなんにも 食べていなかったのだと思い出してお腹が空いて きてしまった アンナ「確かに、そうでした。お腹すきましたね。ありがとうロディ 少し食べてきます」 ロディ「ん、行ってらっしゃい」 ひらひらと手をふって送り出してもらえる 言われた通り広間の後には沢山の温かな食事が 盛られていた パスタにお肉、ご飯だってある こんなご馳走は初めてでどこから手をつけようか悩んでしまう アンナ「やっぱりパスタにしようかな」 エマ「ふふっ アンナちゃんって結構そういうのが好きなんだぁ 面白いね 私はエマっていうの、よろしくね」 近くから楽しげな声が響いて食事をとろうとした私の手はぎょっとして止まった アンナ「……あの、怖いです 驚かせないでください それだと私の心臓がもたない」 エマ「あはは!!おっもしろーい 心臓ってそんなにやわじゃないよ 大丈夫だよアンナちゃん」 本気で言っているはずなのだけど笑みを浮かべ続けるエマには何だか不思議というか異様というか 恐ろしい気がして少しだけ距離をおいた 明確な理由はなかったけど体が動いてしまった のだから仕方ない エマ「ごめんって。食事の邪魔しちゃった まったねぇ」 そう勝手に悪びれもせず言えばエマは皆の輪の中には入っていった なんだか一方的に乱されたのは私だけだった それだけは心に不安を残していった
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