ゆずれない思い〜最後の嘘〜

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「佑ちゃん? 寝ちゃった?」 「んっ?起きてるよ。」 今日は、お泊まりするつもり! 実家暮らしの私は、お泊まりなんて滅多にできないのが現実。 今夜は、親友の由希の家に泊まると言って家を出て来て、今こうして佑ちゃんと二人の時間を満喫しています。 現在、午後9時。 「沙都(さと)? 今日、本当に泊まるつもりなのか?」 「うん、そのつもり。」 「また、嘘吐いたのか? 俺さ、沙都に嘘を吐いて欲しくない。 俺たちの関係は嘘を吐かなきゃならないような関係じゃない。正式に結婚も申し込んだんだ。 だから、嘘を吐くのはやめないか?」 そんなこと言ったって、親に彼氏の部屋に泊まりま〜す!なんて言えないし! 「佑ちゃん、なんで?」 「送って行くよ…。」 佑ちゃんは、無表情で言った。 「なんでよ? 後少しで海外に行っちゃうんでしょ? サウジアラビア、私は行けないんでしょ? それなら日本にいる間は、少しでも長く一緒にいたいって思うのが普通でしょ? 違う? 私だけなの?そう思ってるのは…。」 「沙都…」 「いやだ、帰らないから!」 佑ちゃんが額に手をやり、大きな溜め息をついた。
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