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そのうち大貴さんの関心は見事になくなって、チャコと二人きりで話すようになった。
あとは目の前の敵ただ1人。
さっきから私の返答を聞いては大口を開けて笑っている
「真琴チャン、ほんっとおもしろすぎ!
質問を全部5文字以内で片付けるルールでも作ってるの?!」
むかつくけど、この場を早く収めるためにはこの方法しかない。
「はい。」
「はい。って!固いな~。
…まぁ俺は知ってるけどね」
「え?」
「なんでもなーい」
私には届かなかった最後の一言を
含み笑いを浮かべてしまい込んだ。
すると何かを決心したかのように
急に真顔になった。
何か嫌な予感。
「じゃ、俺ら先 行くわ」
「え?」
「「え??」」
当たって欲しくなかった[予感]は
大当たり。
今日一番嬉しくない当たりを引いてしまったようだ。
「おおあおうっ!じゃ またな」
動揺を隠しきれてない大貴さん
チャコでさえこの状況にはついてこれていないみたい
「えっとー、」
「も、もう少しゆっくりしていこうよ」
随分と自信なさげだなあ、この人
少し考えてから「はい」と答えたチャコに
さっきまでの余裕はなく、見たことがないくらい緊張している様子だった。
隣の直輝さんは というと「じゃ!」と
わたしの肩をよせてクルッとドアの方へ一直線
「ちょ、やめてください」
「...まあまあ、この状況から抜け出せることを逆に感謝してほしいくらいだね。
本当ははやく帰りたいと思ってたくせに。
はーあ、できる男ってツライツライ。」
こっちがはーあ、だわ。
チャコは大丈夫かな?と少し心配で首をまわしてみると、私なんか気にもとめず
既に楽しそうにおしゃべりを再開していた。
素直に笑うチャコって
めっちゃくっちゃかわいいんだよな~
女のあたしでも惚れてしまいそうな、
太陽みたいな笑顔。
なんて思いながら
すこし複雑な気分でカフェをあとにした。
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