むかし、むかし

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むかし、むかし

 むかしむかし。  さぁどれほど昔か、それは数百年数千年、もっと昔からある昔の話です。  1つの、大きな船がありました。  その船は全てが黄金で出来ている船で、日の光に当たるたびに直視が出来ないほど輝く船だったそうです。  船が通った後は黄金の光の海の道が現れ、波は不思議な銀色のさざ波を起こし、帆ははためくたびに極彩色に輝くオーロラのような光の風を起こしました。  宝船(たからぶね)  人々は、その船をそう呼んでいました。  その船が姿を現す条件は誰にもわからず、海を旅していたものや漁師が目撃したという情報があったのみ。  ただ、とても印象に残る船だったためか、その船の姿だけは伝説として世界に伝わっていきました。  そう、それは、知らぬ人がこの世にいない、と言えるほどに。  そんな、黄金で出来た船を放っておく海賊などいるでしょうか?  答えは勿論、ノー。  海賊たちは海に出て、その宝船を探す旅に出ました。  黄金を手に入れるのは自分だ、大金持ちになるのは自分だ、幻を手に入れて名声をあげるのは自分だ――と、それぞれ夢と希望と目的を持って旅に出たのです。  しかし、船を持って帰ってきた者はだれ1人としていませんでした。  ただ、姿を見つけ「輝いていた」「眩しかった」「早かった」「現れてすぐ消えた」などと、抽象的な言葉を持って帰ってくるばかりでした。  そう、姿を見つけても、誰も宝船を手に入れることは出来なかったのです。    そして何より不思議なことに。 「宝船を見つけた」と言った海賊たちには必ず共通点がありました。  それは――――
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