5人が本棚に入れています
本棚に追加
「うがっ。いま何時だー。」
身体が震えて思わず目が覚める。寝そべったまま片手でポケットをまさぐり、スマホを探すが手応えがない。
「げ。酔ってどっかに落としちまったっか?」
辺りを探そうと起き上がった瞬間。
俺は沢山の人に囲まれてた。皆目が大きく、毛深くて、毛皮の様な薄茶色の服を着ている。体格の良い男はそれぞれ手に石でできた斧や槍を持ってて、聞いたことがない言語で周囲の奴らと喋っている。その怖そうな顔付きは、俺を警戒している様だった。
「…は? 誰あんた達? 何、映画の撮影?」
次の瞬間、グォオォーという大地が裂けそうな轟音が背後で響く。慌てて振り返ると、そこには俺の身長の数千倍、いやもう数え切れない位大きな巨人が雄叫びを上げていた。
「ウガァアー!!! 貴様見慣れない奴だなぁ!!! 何者だぁ!!!」
一言一言が大地を大きく揺るがし、鼓膜が破裂しそうな程に喧しい。あり得ない光景に俺は恐怖で縮こまることしかできない。
「あっ!! あなたこそ何者ですか!!」
「わしかぁー!!! わしはだいだらぼうだぁー!!! ここ大櫛の地でのんびり貝を食っておる!!!」
そう言いながら巨人は手を水辺へ伸ばし、大きな貝を取ってくる。あれは蛤か? にしてもデカ過ぎだろ。あんな大きな貝見たことがないぞ。
それにここ大串に海なんか無いはずだ。確か川は流れているが、そんなに近くはない。しかもさっきこの巨人、だいだらぼうって名乗ったよな。まさかダイダラボッチのことか!? それじゃ目の前の巨人はあの像の…
「お前は何者だと聞いているだろぉー!!! 怪しい奴め。お前も食ってやる!!! 最近貝ばかりで飽きておったんじゃ!!!」
視界一杯に巨大な掌が俺目掛けて降ってくる。食べられるなんて冗談じゃない!! 俺は咄嗟に身構える。
「ひぃ!! お助けをー!!」
最初のコメントを投稿しよう!