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「うわぁあぁー!!」
恐怖で飛び上がると俺はベンチから勢いよく転げ落ちる。どうやら俺は悪い夢を見ていたらしい。どこも体は潰れてないし、周囲の謎の人間達はいないし、巨人は元の像の姿のままだ。
冬だというのに汗でびっしょりな体に、容赦なく冷たい風が吹き付ける。震える手付きでスマホを見ると、女房から何件も着信連絡が来ている。俺は慌てて掛け直す。
「もしも」「あんたどこをほっつき歩いてんだい!! どうせいつもみたいに酒でも飲んでたんだろ!? 病院の先生にも止められてるってのに…いい加減帰ってこい!!」
一言も喋る余地すら与えずブツリと電話を切られる。何時間経っていたのか知らないが、相当お怒りの様だ。言い返したい所だが、この事を話しても火に油を注ぐだけだろう。俺は散らかった空き缶を片付けその場を後にする。
一体何だったんだあれは。
飲み過ぎてあんな悪夢を見てしまったのだろうか。そういや最近酒の回りが早くなってきた気がする。
病院の先生にもアル中一歩手前だから控えろと言われているし、この際しばらく禁酒しよう。
あんな悪夢を見るのは真っ平御免だ…
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