ハートビート

4/13
13人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
 ランダムに選ばれ刻まれたビートは、童顔で小柄で華奢な彼女からは想像もつかないハードなものだった。  一気に別世界へ惹き込まれる。  そこへヴォーカルヒロトのシャウトが加わる。  気持ちが昂る。  耳から伝わる全てを感じるために。  全神経を、感情をアタマの両サイドに集中する。  彼の息遣いを。  飛び散る汗を。  躍動する心を。  全て聞き逃さない。  曲ごとに目まぐるしく変わるエモーションは思春期の彼女そのものだ。  疾走感に突き動かされる。  耳元で囁かれる愛の言葉に射抜かれる。  真っすぐだがどこか歪んだ心が彼女を捉えて離さない。  気がついていた。 (私は彼に恋している。)
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!