1人が本棚に入れています
本棚に追加
私が転校してきてから2週間が経った。
隣の席という縁で八木朝子には手間をかけさせていたが、それでも、どうしても私は彼女のことが嫌いだった。
「他人なんて興味ないです」と言わんばかりの高慢な態度。
弱そうな、レースやフリルのついたワンピース。
なんというか、友達少なそうな人間の典型に思える。
何より、自分と同じ顔の人間が一番自分の好きではないタイプであることがとにかく気に障った。
そんな時、担任が私たち二人を放課後の相談室に呼び出した。
そこで私たちに告げられたのは、最低としか言い表せない真実だった。
私は、朝子のクローンだそうだ。
頭が真っ白になった。唯一無二だと思っていた自分の存在が、まがい物に過ぎないかったなんて。。
細かいことも説明された気がするが、ショックを受けている間にすべて話し終えられてしまった。
心配してやる必要もないが、こんな状況、向こうだって望んでいないだろうに。
教室に戻って、授業を受けていた最中、私は気がついた。
隣の女は、私と遺伝子レベルで同じである。ならば、私があんな性格になってしまう可能性も存在したことに。
自分は自分で、こうあるべくしてこうなはずなのに。
いちばん大切なものが揺らいだ。
目の前が暗くなる。
最初のコメントを投稿しよう!