賢吾の想い Ⅱ

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 その数日後、紗優美の両親のいろいろなごたごたが一段落した。 俺は、今度こそ!と思い、紗優美を温泉旅行に誘う。 2人で手を繋いで散策って、これデートだろ!? そうは思うが、あの看護師とも手を繋いで歩いてたのを見てる俺は、無条件に自惚れることも出来ない。 同じ部屋に泊まる…普通は、それはもうOKサインだと思うが、同じ家に住んでる俺たちには、それすら当てはまらない。 それでも! 俺は、今日こそ、ちゃんと想いを告げるんだ。 湯上り、浴衣姿の紗優美は、すごく色っぽかった。 ほんのり上気した襟足に無造作に束ねた髪のおくれ毛がかかって、何とも言えない。 胸元には、やっぱり三日月が輝いている。  夕食後、俺は紗優美を海岸に連れ出し、決死の覚悟で想いを告げた。 「月が綺麗だな」 「うん、綺麗だね」 紗優美の両親の葬式の後、紗優美は言ってた。 「うん、綺麗だね」は“me too”だって。 俺は、天にも登る気持ちで、紗優美を抱き寄せた。 なのに、その紗優美から待ったが掛かる。 あり得ない! 紗優美は、よりにもよって、俺と谷口さんが付き合ってるって、ずっと勘違いしてたらしい。 俺はひとつひとつ紗優美の誤解を解く。 そうして、ようやく紗優美は俺を受け入れてくれた。 幸せってこういうことを言うんだな。
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