光をもとめて

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西暦2XXX年 人類はオゾン層が完全に破壊され地上での生命活動は防護服なしでは生存できなくなっていた。 脅威となる紫外線と400nm~420nmの帯域である紫光をHEVというが白内障や加齢黄斑変性の原因のひとつとして挙げられ、有害光線の中でも眼病にもっとも影響している。 そんな人類は地下帝国を築き上げ、人類は原始的な火を松明(たいまつ)の様に使い生き延びてきた。 そんな地下世界のトップが皇帝である。 そんな皇帝は今日も鏡で自分の毛髪をチェックしていた。 髪の毛は非常に薄く皇帝としての威厳が無い為普段はカツラを被っている。 鏡の反射率は役80パーセントだ、どんなに光を当てようと自分の8割程度しか自分自身を確認できないのである。 残りの20%は一件しっかり映っているようだが実際はぼやけている、人はそれに気付かず光によって反射された自分の姿は全て正しいと信じきっている。 その時地上調査隊のメンバーが帰って来た。 「帰ったぞー!」 無事生還した調査隊に国民から拍手喝采となる。 調査隊の任務は皇帝から依頼されたセンブリの種を採取してくる事だ、このセンブリという植物には生毛作用がある。 皮膚温の上昇、皮膚毛細血管の増強などの作用があり、皮膚細胞の代謝改善、血行の促進や細胞分裂の活性化が確認され、近年発毛促進効果があることが確認されている。 そこに総合科学研究所の所長が現れる。 所長「対象となるセンブリの種を見つけましたがこの太陽の光のない世界でどうやって育てるか検討もつきません」 センブリは育毛効果がある皇帝にとって喉から手がでる程欲しかった一品だが この自分達が住む地下世界には太陽の光が届かない、光合成を必要とするセンブリを種からどう開花させるかである。 電気の光でも光合成が出きる耐陰性の観葉植物とは訳が違う。 二年草で2年目にはそれなりの日光の光が必要となってくる。 皇帝は考えたが答えはでなかった、そして今日も鏡をみて自分の髪の毛をチェックする。 そこに答えがあった。 3ヵ月後眩いばかりの日の光が松明(たいまつ)だけの暗闇地底へと凛々と雪崩れ込む、とても幻想的で存在しない物が突如発生したかの光景となる。 そしてセンブリの芽が出てきて2年目には花が咲いた。 さてどんな仕組みで太陽の光が降り注いだか、皇帝が毎日鏡を使用していた事にヒントはある。 要は合わせ鏡の様に太陽の位置を追尾する鏡台を作り合わせ鏡の様に鏡を中継し日の光を地下まで持って行ったのだ。 数年後、皇帝はカツラを捨て二度と被る事はなかったそうだ。
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