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我々が"貴族の魂"を忘れ、悪魔に魂を売り渡していた時代は、少し長すぎた。 今、我々は"貴族の魂"を取り戻す。 泡という泡が、今またブクブクと蘇りの兆しを見せ始め、それらは時間をかけて、貴族の魂を復活させ、一つの肉体として、 また一つ、 また一つ、 そしてまた一つの"貴族の肉体"を生成させ始めた。 "貴族の魂"は、そこかしこの泡という泡から肉体的な復活を遂げ始めたのだ。 我が同胞・向井田に心からの謝辞を捧げたい。 向井田は、我々の時代の貴族ではない。 もっと遥か未来の、我々貴族の末裔である。 だが、彼がこの時代にタイムスリップして降り立ち、我らの愚かなる忘却と、悪魔に支配を許す頽廃的かつ壊滅的な惨状に対する革命を開始した瞬間から、我が同時代の同胞と成り得たのだ。 "貴族の魂"は復活の兆しを見せ始めたものの、まだまだこの地に生息する大量の悪魔の数の比ではない。 我々は今、向井田と共に戦う。 かつての華族たちが、この那須野が原に、欧州文化実現への果てしない夢と、近代国家建設に向けた献身的な愛情と情熱を燃やした、あの"貴族の魂"を蘇らせるのだ。
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