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「はじめまして! 私と友達になろう!」
彼女は私に零れそうな笑顔でそう言った。
子供の頃、彼女と私は日が暮れるまでずっと遊んでいた。
初めて出会った時の零れそうな笑顔は今も忘れない。
でも、大人になるにつれ彼女と遊ぶ回数は減り、私は成長する彼女を見守ることしかできなかった。
そして、彼女が大学を卒業した時彼女との別れがきた。
彼女は久しぶりに私を見ると懐かしそうに微笑んだ。
彼女は片眼が解れた私を持ち上げると軽く埃を払った。
「こんな所にしまってたんだね、ごめんね」
彼女はそういうと処分と書いた箱に私をそっと置いた。
私はその箱から遠ざかる彼女の背中に向けありがとう、さようならと言いかけたが、口が縫われていて言えなかった。
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