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「本日面接を担当いたします加賀美サトシと申します。まず始めに自己紹介をお願いします」
「は、はい。小牧ジロウ、27、あ……8歳です、よろしくお願いします……」
こじんまりとした個室の空間に向き合い座っている二人。
ここは都内に4店舗展開しているケーキ屋、ルビークリームの本社だ。
「今日はわざわざ本社までお越しいただきありがとうございます。うちの場所わかりにくかったでしょ?」
「い、いえ、そんなこと……ないです……」
加賀美は若干挙動不審気味の小牧を一瞥した後、机の上の履歴書に目を落とした。
「えーと、小牧さんは製菓学校卒業後、ホテルのパティシエをやってたんですか」
「あ、はい」
「どうして辞められたのですか」
「まぁ……その、いわゆる人間関係でしょうか……」
「人間関係?」
「はい。僕の性格は、周りの人をイライラさせてしまうみたいでして……。なんかこう、トロトロしてるというか、ウジウジしてるというか……。だからよく同僚たちのストレスのはけ口にされてたんです。小牧なら言い返さないし、上に告げ口もしないから何言ってもいいだろう的な。それが結構辛くて……」
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