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羽衣伶莉は16歳で時代は大正12年。
レイリは自宅近くの建物の3階で食堂で働いていた。
そして9月1日11時58分32秒ごろ猛烈な揺れが発生し建物は火に包まれレイリは煙を吸い倒れてしまった。
後に関東大震災と言われる出来事だ。
しかし突然目が覚める。
「お目覚めかい?」
其処には20代後半と思われる女性が立っているその部屋は埃っぽく無数の本棚に、自分が寝かされていた場所には文字やら絵が書かれている。
レイリ「貴方は誰ですか?私は炎に巻き込まれて命は助からない状態だった筈何ですけど」
「私かい?私はエニアスって言う魔女だよ、生まれはヨーロッパの方なんだけどね、幕末から日本に住んでるのさ、因みに貴公死んでるよそして生き返ってもいない」
レイリ「だって私普通に貴方と会話していますよ?生きてるじゃないですか」
エニアス「それは魂がゾンビとして貴公の体を動かしているだけさ幸いな事に体に損傷が少ないから普通の人間と然程違いはないからねで名前は?」
レイリ「羽衣伶莉です」
エニアス「ふーんこの時代にしちゃぁ珍しい名前だね、レイリはゾンビになったから不老として永遠と生き続けなければならないよ」
レイリ「死なないって事ですか?」
エニアス「それが幸運な事に私は愛を司る魔女でねレイリが本気で好きになった人間にキスされるとレイリは死んでしまうけどそのキスをした相手が人間ならゾンビにゾンビなら人間に戻れるんだ」
レイリ「それって自分にとってはデメリットの可能性が高いですね」
エニアス「まーそーいう取り方も出来るね、でも実際ケースバイケースなんだよね」
と、其処に箒に跨った別の魔女がやってきた。
アリエル「やあエニアス久し振り予言は本当だったんだね。信じている魔女は今日は人が沢山死ぬからって挙って日本に集まってきたよ」
エニアス「でアリエルも早速ゾンビ作ってきたのかい?」
アリエル「あぁ僕もゾンビを作ったよその本当に好きになった異性にキスをされると自分は死ぬけど相手が人間ならゾンビにゾンビなら人間に戻る呪いをかけたのさまぁエニアスと同様でゾンビ作りのお約束って奴だね」
レイリ「貴方僕って言っているけど魔女じゃないんですか?」
アリエル「僕は魔王さ大魔王の魔王とかじゃなくて魔女の男性版みたいな感じかな、お嬢ちゃん」
レイリ「そんな呪いばっかかけて何か貴方達にメリットがあるんですか?」
アリエル「魔力の向上に繋がるからね、ただ生きている人間をゾンビにする事は出来ないよ死んでから数分間で死体は生命活動が出きる範囲内のダメージを受けてる人間の死体じゃないとね、脳ミソ爆発していても五体満足なら活動できるだろうし、腕や足がなくても活動は出来るからゾンビの対象にはなるよね、にしても美しいゾンビだよ体に怪我の一つも無い」
エニアス「火事で煙を吸っただけだからね、私もこんな綺麗なゾンビは初めてだよ」
アリエル「そして次第に分かってくるけど好奇心っていう感情が薄くなって来るんだ先刻言った人を好きになる気持ちも薄くなり人間を愛する気持ちも薄れていくのさまぁ稀にそういった症状が無い貴重種も存在するんだけどね」
レイリ「じゃあエニアスさん、アリエルさん私もう帰りますから」
そしてレイリは焼けた家から避難所生活が始まった。
それは過酷だったが仮住まいの家は直ぐに見つかり其処で生活するようになった。
しかし大地震が起きたのが9月で季節はあっという間に冬至を過ぎ寒さと飢えとの戦いの毎日だった。
そして年を越し春寒ようやくぬるみ始めたこのごろ見合いの話が持ち上がった。
レイリは感情は崩壊しており断る理由も無く婚約する事となったしかし体は老いる事なく子供も生まれ旦那はどんどん年老いて子供も年をとりレイリの年齢である16歳をあっという間に超えていった。
周囲からは気味悪がれる所か奇跡の少女と呼ばれるようになる。
時代は昭和に入り旦那が寿命で亡くなった、が孫も誕生して子供達は自立し夫々別々の生活に入る。
昭和60年頃二人いた息子も亡くなって孫も良い年齢になってきた。
自身は一向に老いる気配が無い、風邪を引いたり発熱する症状といった体調不良もゾンビになってから今迄発生した事がない、理由は自分は死んでいるから体温も存在しないし心臓の鼓動も聞こえない何が原動力なのかは不明だが恐らく科学を超越した魔女達の魔力の力といった所か。
そして時代は平成に入り年齢を偽ってカフェでバイトし生計を立てる様になった。
其処に現れたのが店長の海斗だ。
今迄凍っていた心が熱で溶かされ動いてない筈の心臓がドキドキし始めた。
レイリは安いアパートを借りて日曜日意外は全てカフェに時間を使った、スマホが発売される時代になり、時代に取り残される事に恐怖を感じる。
現在のレイリの年齢は108歳だ。
ある日スマホに店長の海斗から二人で遊びに行こうとのメールが入る、返事は勿論OKだ。
そして当日モノトーンの花柄ワンピースとカットオフデニムで足元はベージュ系のパンプス等迚大正生まれの女性が着る様な服ではない親近感あるコーデで店長を駅の改札の前で待つ。
其処に何時も顔色が悪い不健康そうな店長の海斗がやって来た、レイリはゾンビで顔色が悪いがファンデーションで誤魔化している。
海斗「今日の事は皆に内緒ね」
レイリ「勿論てゆーか店長って何時も顔色悪いですけど大丈夫ですか?」
海斗「大丈夫じゃないよカフェの店長は忙しくて大変なんだよ、そりゃ顔色も悪くなるさ、んじゃあのカフェでお茶でもしよう」
二人共トールサイズのカフェラテを注文した会計は店長が奢ってくれた。
レイリ「いいんですか?店長奢って貰って」
海斗「俺は一応社会人何だから当然だよデート代は全部俺が払うからね」
レイリ「やったー嬉しい」
レイリが喜んだのはお金を払わなくて良いとかではなく店長の心意気に喜んだのだ。
レイリ「店長って幾つ何ですか?私は18歳ですけど」
レイリは此処で嘘をついた、体の年齢は16歳で生きている年齢は108歳で何方も白地におかしいし自分がゾンビだ何てカミングアウト出来る筈が無い。
海斗「俺は23歳だよ、それと二人で居る時は海斗って呼んでほしーなぁ」
レイリ「じゃあ海斗君て呼びますね」
海斗「ああ、じゃあ次はボーリングいこーぜ」
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