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異変
すると、ファントリドスが、「息子よ、なんでそんなにおどおどと顔を隠すのかい?」と聞いた。そこでパトロックは「お父さんには魔王が見えないの? 冠つけて 長い裾をひいた魔王が」と言いった。そのときファントリドスは、一瞬ビクッとした。パトロックは目が見えないのになぜ魔王が追いかけてくることが分かるのだと恐ろしくなったのだ。しかし一つ違う点があった。それは、冠や長い裾をヒトラーは身に着けていないことだった。父は、そんなことを気にも止めず馬で逃げることをなんとパトロックに言っていいか、その二つしか考えていなかった。その時、前方に霧がかかっているのが見えた。しめた! とファントリドスは思った。ファントリドスはパトロックにいいわけを言った。「息子よ、それは霧のつくる筋模様だよ」。しかし、パトロックはそれを信じなかった。それどころかパトロックは、「見えないの? 拳銃とマシンガンを持ったヒトラーが!」ファントリドスは失神しそうだった。なぜ、なぜ、パトロックは見えるのだ! 父は驚きのあまり言い訳をなくした。
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