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妻
しかしいい方向に行ったのか悪い方向に行ったのか魔王・ヒトラーが「愛らしい子よ、おいで、私と一緒に行こう とっても楽しい遊びをしようよ 岸辺には色とりどりの花がさいている 私のお母さんは金の衣をたくさんもっているよ」とささやいてきたのだ。ファントリドスは、パトロックを見た。するともう情緒不安定のような顔でこちらを見ていた。ファントリドスはある妄想をした。それはパトロックがヒトラーやその家族と一緒にわいわい大騒ぎをしている姿だ。しかし息子は楽しんでいない。そういう妄想だった。五年前パトロックの母・ファトリーナはヒトラー率いるナチス軍の兵士に弾を四発頭にぶち込まれた。それで死んでしまったのだ。ファントリドスはその恨みと深い悲しみに明け暮れた。その後ファントリドスは深い悲しみより恨みのほうが勝ってしまった。よし! 殺してやる! と思った。しかしここでもしヒトラーに弾を当てて死なせてしまったら、ドイツ国民二千万を敵に回してしまう。それだけはダメだ。じゃあせめて怪我をさせるだけだったらいいと思った。そして手に持っていたライフル銃をヒトラーに撃った。弾は肩をすり抜けて当たらなかった。
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