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息子の問いかけ
そしてファントリドスが、リロードをしているとき腕に抱いていたパトロックが、言葉を発した。「お父さんお父さん 聞こえないの 魔王のささやきかけてくる声が?」ぐあーーーー! 来た、来てしまった、息子の二回目の問いかけが! もう言い訳が見つからない。将棋でいう詰みだ。ふと、ファントリドスがパトロックを見ると早くなんか答えてくれ、という顔でこちらをガン見していた。これはなんらかの言い訳をしなくちゃと言い訳を探した。すると! 天の助けか枯れた葉を風がカサカサと言わせていた。よし! これだ。ダメもとで言ってみおう。「枯れた葉を風がカサカサいわせてるんだ」パトロックはなおもガン見していた。ファントリドスはこの重い空気の場から逃げ出したかった。その空気を刀で切り落としたように魔王・ヒトラーが拳銃でこちらを撃ってきた。ファントリドスは一瞬、感謝の言葉をヒトラーに言いたかった。しかしこの弾にもし当たっていたら死んでいたのだ。そのことを考えるとやっぱり許せなかった。その思いがどんどん湧き上がってきてライフル銃をまた手に持った。今度こそ当ててやると、一発撃った。しかし当たらなかった。
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