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レイが自分に好意を持って何でも話すようになり、取り調べは斎藤が担当することになった。毎日長時間狭い部屋で顔を合わせる。
「北海道に旅行で連れてってもらった時、Kに会った」
初対面でいきなり「ナイフで切り裂くなんてすごい力ね」と言われ戸惑った。別に責められたわけじゃないけど「銃でやったら?」とすすめられ
「ここ日本だよ」
「知ってて損する情報はないわ」
そう言って人気のない森の中に連れていかれ、Kはまず自分で遠くの木を撃った。
「ここで殺されるのかなあと思ってたら撃ってみろって言われて。そんな事言われてもやったことないしどうしようかなあって」
とりあえず一発撃ってみた。
「当たるわけないじゃん。Kは訓練してたから上手いけど。僕はここで殺されちゃうんだと覚悟したら、当たるまで撃てって。そしたらだんだん上手になっちゃった」
「でも事件で銃を使った証拠はなかったぞ」
「うん。撃てるようにはなったけど持っていたら使ってしまうと思って断った。それから観光しながらKの理想論を聞かされてメンバーに誘われた」
「戦力として?」
レイは斎藤をしばらくじっと見て
「僕記憶力がすごいんだよね」
そう言ってチラッと目に入った指名手配犯のポスターを一瞬見て、顔、名前、犯罪歴を全部言った。
「スパイには向いてるでしょ」
頬杖をついて笑いながらレイは言った。
最初の殺人は突発的なものだったがそれを隠すことができ、性の倒錯行為を繰り返すことによってだんだん精神が崩壊していき、Kの命令も聞かなくなり暴走した。
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