サバイバルゲーム

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サバイバルゲーム

レイが収容されていた施設は規制線が張られたまま壊されずに残っている。 Kが逮捕されるまでは現場検証のために保存しておくのだろう。 謹慎中の斎藤は時間つぶしに、たまに訪れていた。 暴れるレイを落ち着かせるために何度も呼ばれ 「鎮痛剤打たれても効かないんだって?」 「毎日やられてたら効かなくなるよ!」 何をそんなに怒ることがあるのかと聞いても「こっちが知りたい」と言ってふてくされる。 そんなことを思い出していると背後に砂を踏む足音が聞こえてきた。 振り返るとパーカーのフードをかぶりポケットに手を突っ込んだ少年が立ち止まった。 「ここは立入禁止だ」 「アンタはいいの?斎藤さん」 Mのおかげですっかり有名人になってしまった斎藤。名前を呼ばれても不思議はない。 ただわざわざここに来る民間人はいない。 ジーパンのポケットに入れていたスマホに近藤の番号を押して、そのまま通話状態にした。 「斎藤さんは有名になっちゃったけどさ」 口角を上げて少年は嫌な笑顔をする。 「俺がノーマークなのが面白いよね」 右肩に激痛が走った。少年はポケットに銃を隠したまま斎藤に向けて発砲していた。 「・・・!」 撃たれた所が焼けるように感じて声も出ない。勢いで吹き飛ばされて倒れる。 「弱・・・。マジで?」 「お前・・、Mの関係者か」 「今頃かい。そうだよ」 中学生くらいにしか見えない目の前の少年がため息をついた。 発砲音が合図だったのか、木々の影から武装した黒い影が姿を現して斎藤に銃口を向ける。少年が手で制して 「この人は俺一人で片付けられそう。それより」 遠くに視線を向けて睨みつけながら銃を向けた。 「あっちが本命」 そこにKがいた。
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