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Kは厳しい表情で横向きに構えた銃を少年に向けている。
シルエットがはっきりわかる黒いスーツで相変わらず軽装で背後には少年と同じ陣営で10人程度の黒い影を引き連れている。
銃をわずかに揺らして後ろに合図すると一人が倒れている斎藤を抱えて少し離れた場所に移動させた。
「この前のサバゲーつまんなかった。寒すぎるわあんな所。学校サボってまで行くんじゃなかった」
少年は軽口を叩くがその目は笑っていなかった。
「それは私も異論はないわ」
斎藤を下がらせてから厳しい眼で少年を見る。
「おばさん殺して俺が天下取るぞ!」
少年が天に向かって銃を撃ったのを合図に影たちが一斉に散った。
Kが銃口をはずさないまま斎藤に近づく。
「どうしてここにいるんですか」
「偶然だ」
「運の悪い・・。救急車呼びましょう。携帯は?」
通話状態の斎藤のスマホを取り出して
「・・・なるほどね」
あたりから銃声がとどろき始めた。
「それよりお前の逮捕が先だ」
「謹慎中で何を言っているの。じっとしてて。運が良ければ助かるわ」
その場を離れようとするKの腕を渾身の力で握った。
「レイを殺したお前を許さないぞ・・・」
Kは背後に現れた影を振り返ることもなく撃つ。
「それを言うなら、あの子の気持ちを弄んだあなたを許さない」
腕を放さない斎藤の体を引きずって倒した敵のマシンガンを手に取り一定方向に向けて乱射した。
掴んだ腕から振動を感じる。それが傷にひびいて思わず手を放した。
「お互い生きていたらまた会いましょう」
待て!と言いたかったが声にならず、Kが離れていくのを見送るしかできない。
銃声が少し遠くに聞こえる感じがして意識が朦朧としたとき
「おじさん見つけた」
少年が目の前まで来ていた。
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