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激痛に耐える斎藤を見て満足したのだろうか。
「Mが死んでMがMを引き継いで・・。ラップみたいになっちゃった。今は俺がM」
マガジンを交換しながら少年はまわりを警戒しつつ言った。
「本村さんの計画って無謀だからさ、それはできないわ。クーデターなんて非現実的。今はKを倒して俺がグループを支配する。それだけ」
少年は斎藤の額に銃を向けながら
「俺は実弾使ってサバゲーできれば満足」
ウソつけ、と思いつつ今は近藤が到着するのを待つしかない。
銃声がどんどん遠くなるのが聞こえる。警察が来るのを知ったKが撤退し始めたのか。
「余裕だねおじさん。死ぬの怖くないの?」
「・・・おじさんは生きることにあんまり執着してない」
「なんで?」
「生きるって大変なんだよ」
近藤への通話が切れた。突入のタイミングの知らせだろう。
少年をここに足止めするために何とか話をつなぐ。
「よくわかんねえけど殺しとくか」
「銃を置いて跪け!!」
SAT率いる近藤がやっと駆けつけた。ぐるりと囲まれた状況で
「おじさんと俺、どっちの命が大事?」
迷うことなく近藤は少年の足を撃ち、数人で囲んだ。
「まだKたちがいるはずだ!そっち行け!」
隊員の一人に包帯を巻いてもらいながら近藤に叫んだ。
「行かせてる!お前は病院!」
少年が落とした銃を拾わせ、手錠をかけながら近藤も叫ぶ。
Kはとっくに撤退しているだろう。
特殊部隊と司令官がいないMの残党との戦闘の音が響き続く中、少年は痛みのせいか泣き始めた。
つぎはぎのMチームは訓練された特殊部隊にはかなうはずもなく、すぐに制圧され全員逮捕された。
Kの姿はすでになかった。
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