サバイバルゲーム

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Mの寄せ集めの集団はすぐ制圧されて全員逮捕され、病院に収容された少年は重傷だが話は出来るので毎日のように警察がきて尋問が続いた。 その頃には斎藤の謹慎も解けて現場復帰した。 Kはまた行方がわからない。もう少しだったのに斎藤は取り逃がしてしまった。 その分少年に詳しく聞くしかない。 元々はKの母親がやっていた小規模な宗教団体だった。その中で過激な思想を持ち誇大妄想に取り憑かれた連中をKが潰し始めたのが発端で内部抗争が始まったらしい。 その中でおもしろ半分で参加したのが少年で警察が知りたい情報はほとんどなかった。Mが集めた素人の一人でやはり全員と直接会ったこともない烏合の衆でしかない。 「遊び感覚で殺人を繰り返したのか?」 「・・・遊び・・。銃を撃ってみたかっただけなんだけど、本村さんが病気になってからいろいろ調整することが多くなって、結果こうなった」 「社会に不満とか、何かメッセージがあるわけじゃないんだな?」 「うん。特にない」 事件になり急いで駆けつけた両親がまわりに頭を下げ続ける。 Mの親とは全然違う、これが普通の家族の姿だと斎藤は思った。 「親御さんを泣かせるもんじゃない」 尋問がだんだん説教になってきた。 「銃で撃たれると痛いんだね・・・」 親の保護の中ぬるま湯で生きてきた少年が始めて感じた「実感」だった。 「君は未成年だから捕まっても少年院送りだ。その立場をM・・、本村は利用したとは考えられるか?」 「あの人そんな計算しないと思う。病気になってから変わってしまった。けっこう昔から知ってるけど前はお兄さんみたいに優しかったのに何でこうなっちゃったんだろう」 「脳をいじると性格が変わってしまう事があるんだ」 少年は首を振った。 「金の執着がえげつない親だったでしょ?人間不信になっていつの間にか世界を道連れに死にたいって言い出して。それはKも俺も止めたんだよ。でもダメだった」 「最後にMが君に指示したことは両親への復讐か?」 「僕が病院にいたこと気づいた?お兄さんが泣いてるの見た。あの両親も見た。Mは自分の死後は解散するようにって言ったけど俺の意思でそれはしなかった」 もう隠す必要がなくなったためか堰を切ったように話し続ける。 「両親の家ぶっ壊したのは俺」 Mの両親はまだ頭を下げ続けていた。それをじっと見ながら 「そのことだけは謝らない」 ハッキリそう言った。 医師がそろそろ退室をうながして来たので斎藤と近藤は病室を後にした。 「あんな子どもにどうして大人が従ったんだろうな」 「ネット繋がりなだけで実際に会ったら少年だったとか?Mのサポートをしていたようだし逮捕した連中も若い奴ばかりで仕事もしないでネットばかりしていた奴が多かった。金目当てでサバゲー感覚で集まった。この予想どうだ?」 近藤の推理に異論はなかった。 「あいつはそれでKに勝てると思ったのか?。北海道で引き分けたから調子にのったかな」 「その辺りをもう少しだけ聞いてみるか」 二人が病室に戻った時、顔を枕で押さえられ胸のあたりが血に染まっている少年が横たわっていた。
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