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春子さんと美春さんは、引っ越していった。
美春さんは、引っ越しの前の日僕の部屋に来た。
「今までごめんなさい。私は父が母と私を捨てた理由も、叶芽のお父様がよそよそしかった理由も知らなかった。でも知らなかったからって許されないくらい、私は最低なことをしてた。
前の彼氏も、笠倉社長も私をどうして選ばななかったのか、今はわかる。
私はΩの自立支援施設に行くの。母からも自立する。あなたよりもカッコいいΩになるわ」
「僕は今まで、美春さんの自立の邪魔をしていました。すみませんでした。どうか幸せになってください」
「本当にお人好しね。次に会ったときは、笠倉社長を貰っちゃうわよ」
「それは、ダメです」
「番になったって、安心しちダメよ。番契約も解消できるんだし」
「はい。大切にします」
「ふふふ、仲良くね。私が前向きになれたのは、叶芽のおかげ。
今までありがとう」
人に感謝してもらえるってこんなに温かいことだったんだ。
春子さんは、「いつか遊びに来て」と言ってくれた。父さんが育った街を案内してくれるそうだ。父さんが帰れなかった街にいつか行ってみたい。
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