1804人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、二人
叶芽の家に2人だけになった。家がやけに広く感じる。
叶芽の両親が使っていた部屋は、今まで春子さんと美春さんが使っていたが、今は家具が置かれただけでガランとしている。
ベッドに腰掛けていた叶芽は、ベランダに出た。
「檸檬の木が見えますね。錬さんはこの部屋を使いますか?」
「叶芽はどの部屋を使うんだ?家主の意見を尊重する」
「僕は今までの部屋を使います。この部屋は落ち着かないです」
「どうして?日当たりはいいし、大きいベッドもある。ベッドは買い替えてもいい」
「ベッドが大きいと、いつも考えてしまいます」
「何を?」
叶芽の顔が真っ赤に染まってる。
「…あの、ですね…」
「はっきり言わないとわからないぞ。はっきり言える人になるんじゃなかったのか?」
「錬さんに触れたいとか、したいとか…」
自分で言わせたことなのに、あまりの可愛いさに歯止めが効かなくなる。
「今、これからしようか…」
キスで口を塞いだから、返事は聞こえない。
最初のコメントを投稿しよう!