そして、二人

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「叶芽さん、やっぱりあなたがいてくれて良かった。話を聞いてくれてありがとうございます。 叶芽さんがこんなにはっきり言う方とは思いませんでした」 「お役に立ててよかったです。笠倉社長や周りの方のお陰で、僕も成長できたみたいです」  柏木は叶芽に話を聞いてもらって気持ちが落ち着いたみたいだ。リビングで2人は楽しそうに話している。 「柏木さん、お酒を飲みませんか?確か錬さんが買ってきたワインがありました」 「それは、2人の記念日に…」  特別な日に飲むためにワインを買っておいた。素直で可愛い叶芽を見たいと思って。叶芽がジト目で見てくる。お詫びにおもてなししろってことだな。 「叶芽、お詫びに柏木に飲ませていい。でも叶芽は飲んじゃダメだ」 「わかってます」  柏木は恐縮していたけど、叶芽が台所にワインとツマミを用意しに行ってくれた。 「社長、叶芽さん、いい人ですね」 「そうだ。いい人すぎるくらいだ」 「幸せですね…良かった。私も番が欲しくなりました」 「じゃ、また誰か紹介する。どんなタイプがいいんだ?」 「そうですね…優しくて、私を誰よりも大切にしてくれる人ですね」 「どんなαでも好きなΩには、優しくするし、大切にすると思う」  叶芽が戻ってきた。白ワインとピクルスとバジル入りのチーズを持って来てくれた。 「美味しいワインですね。叶芽さんは飲まないんですか?」  特別な日に飲む予定だったワインを柏木は遠慮なく飲みはじめた。 「僕、酔うと凄いことしちゃうみたいで、怖くて飲めないんです」  そうだ。エロくなるから、今は叶芽は飲んじゃいけない。 「自宅だから、何しても大丈夫じゃないんですか?叶芽さんも飲んでください。私が飲みにくいですから」 「じゃ、少しだけ」  叶芽はワインを飲んでしまった。そして… 「僕、錬さんが好きなんです。柏木さんも錬さんが好きですよね。どこが好きですか?体?」  叶芽が、柏木に絡んでる。 「私は社長と何でもないですよ」 「関係があるかじゃなくて、どこが好きかという質問です。体ですか?」 「柏木、だから飲ませるなと言っだろ。しかも本人は、酒を飲んだときの会話は全く覚えてないんだ」 「僕は錬さんの体も好きなんです。あげませんよ。錬さんの体は僕のものですから」 「叶芽さん、さっきから、体って何度も言ってますね」  柏木が爆笑してる。叶芽は静かになったと思ったら、ソファーにもたれかかって寝てしまったようだ。叶芽を叶芽の部屋のベッドに運ぶ。 「柏木が電話してきたとき、そういう取り込み中だったんだ。 俺もこれは拷問だ」 「それはタイミングが悪かったですね…叶芽さんが言うとおり、私は社長が好きでした。でも過去形です。この可愛い人には敵わない」 「悪かった…」 「謝らないでください。気づいて欲しいとは思ってませんでした。仕事が大事ですから。その程度の気持ちっていうことです」 「そうだ!サイードのとこのハサンさんはどうだ?イケメンだろ」 「確かに社長よりイケメンで、優しくて、優秀かもしれませんね」 「他にも色々紹介できるぞ。週末は開けておいてくれ」 「そんなに張り切らなくていいですよ。私も社長みたいに誰かに一目惚れするかもしれませんし」  叶芽が用意していた部屋着と新しい下着を手渡して、2階の部屋に案内した。 「本当に部屋は空いてるから、ゆっくりしていい」  柏木におやすみと言って、叶芽の部屋に行く。
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