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彰は急に身体を離し、巳緒の手を引いて駅へ急ぎ足で向かいだした。
「何?どうしたの?」
巳緒は急いでSuicaをバッグから出しながら訊く。
彰は振り向き
「これから俺か巳緒の部屋、近い方に帰ろう」
と言ってスマホをかざし改札を通った。
「え?」
巳緒は訳が判らないまま、彰に腕をひっぱられるままに急いで歩く。
彰は電光掲示板の行先表示時刻を見ながら階段に向かう。
「今すぐに、巳緒の全部を俺のものにしないと安心できない。
巳緒、今日は俺の部屋に泊まっていけ」
え―――っ!
巳緒は咄嗟に、今つけている下着のことを考えてひとりで赤くなってしまった。
昨日一昨日、学祭で大学に泊まりだったし。
どこかで買わないと…
ってやだもう、あたしその気じゃないのっ!?
二人の先にはこれからもまだまだ続く、丸くてでこぼこのトラックレス・パス。
二人なら、乗り越えていける。
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