巳緒・彰 14 そしてtrackless path

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 彰は急に身体を離し、巳緒の手を引いて駅へ急ぎ足で向かいだした。  「何?どうしたの?」  巳緒は急いでSuicaをバッグから出しながら訊く。  彰は振り向き  「これから俺か巳緒の部屋、近い方に帰ろう」  と言ってスマホをかざし改札を通った。    「え?」  巳緒は訳が判らないまま、彰に腕をひっぱられるままに急いで歩く。  彰は電光掲示板の行先表示時刻を見ながら階段に向かう。  「今すぐに、巳緒の全部を俺のものにしないと安心できない。  巳緒、今日は俺の部屋に泊まっていけ」  え―――っ!  巳緒は咄嗟に、今つけている下着のことを考えてひとりで赤くなってしまった。    昨日一昨日、学祭で大学に泊まりだったし。  どこかで買わないと…    ってやだもう、あたしその気じゃないのっ!?    二人の先にはこれからもまだまだ続く、丸くてでこぼこのトラックレス・パス。     二人なら、乗り越えていける。
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