89人が本棚に入れています
本棚に追加
…俺も、恋愛すればいいのか?
唐突に思いついて、それはすごく良いアイディアのように思えた。
そーだよ。俺にも彼女ができれば。
また以前のように、巳緒とも仲良くできるんじゃないか?
巳緒と水野さんと、俺と彼女で遊んだりできるんじゃね?
でも、好きな娘がいない。
俺を好きだと言ってくれる娘もいない。
うーむ。状況はなかなか難しいな。
しかしその難題は、授業の後にいきなり解決することになった。
「あのう…柳原彰さん、いらっしゃいます?」
廊下から教室の中を覗き込んで声をかけているのは、長い黒髪の女の子。
「あ、俺…」
俺が立って廊下へ出ていくと、長い髪を揺らしてぺこりと頭を下げた。
「私の友達が、あなたに話があるって言っているんです」
と言って、こちらの都合も聞かずに場所と時間を告げ「絶対来てくださいね」と念を押して行ってしまった。
「おっ、なに?女の子から呼び出し?」
伊藤がいつの間にか俺の後ろに来て、興味津々といった様子で黒髪の子を見送っている。
「女の子からかどうかは判らない。
あの子の友達だって。
男かも」
俺は何げないふうに答えたが、心臓はバクバクと高鳴っていた。
これは…
もしかして…?
指定された時間通りに校舎の指定場所に行くと、さっきの長い黒髪の女の子と、茶色い髪の女の子がいた。
黒髪の子は俺を見て軽く会釈すると、茶髪の子の肩をポンと叩いてその場から去って行った。
最初のコメントを投稿しよう!