彰(あきら)・1‐1

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 …俺も、恋愛すればいいのか?  唐突に思いついて、それはすごく良いアイディアのように思えた。  そーだよ。俺にも彼女ができれば。  また以前のように、巳緒とも仲良くできるんじゃないか?  巳緒と水野さんと、俺と彼女で遊んだりできるんじゃね?  でも、好きな娘がいない。  俺を好きだと言ってくれる娘もいない。  うーむ。状況はなかなか難しいな。  しかしその難題は、授業の後にいきなり解決することになった。  「あのう…柳原彰さん、いらっしゃいます?」  廊下から教室の中を覗き込んで声をかけているのは、長い黒髪の女の子。  「あ、俺…」  俺が立って廊下へ出ていくと、長い髪を揺らしてぺこりと頭を下げた。    「私の友達が、あなたに話があるって言っているんです」  と言って、こちらの都合も聞かずに場所と時間を告げ「絶対来てくださいね」と念を押して行ってしまった。  「おっ、なに?女の子から呼び出し?」  伊藤がいつの間にか俺の後ろに来て、興味津々といった様子で黒髪の子を見送っている。  「女の子からかどうかは判らない。  あの子の友達だって。  (ヤロー)かも」  俺は何げないふうに答えたが、心臓はバクバクと高鳴っていた。  これは…  もしかして…?  指定された時間通りに校舎の指定場所に行くと、さっきの長い黒髪の女の子と、茶色い髪の女の子がいた。  黒髪の子は俺を見て軽く会釈すると、茶髪の子の肩をポンと叩いてその場から去って行った。
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