彰・1‐2

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 俺はその日のバイトの間ずっと浮かれていたらしい。  店長から「彰…大丈夫か?今日早めに上がっていいぞ」と額に手をあてられる始末だ。  まあ、ここ最近めっちゃ落ち込んでたのに、急に浮かれ出したら、そりゃ皆気味悪く思うよな。  でも、それが解っていても、ニヤニヤが止まらない。へへへ。  それでも何とか時間最後まで働いて、外へ出て早速、大谷さんにLINEする。  『こんばんは、バイト終わったよ』  と入力して送信すると、すぐに既読がついて『お疲れ様♪』というスタンプが来る。  『メッセージありがとう♡ずっと待ってたから嬉しい』  という文章が送られてきて、ただそれだけのことなのに頬が緩んでしまう。    キモイぞ、俺。  気をつけろ。  今、すれ違ったお姉さんがめちゃめちゃ引いてたぞ。  不審者一歩手前だ。  それから家に帰るまで、ずっと大谷さんとLINEしていた。  電車を何本もやり過ごし、互いの誕生日や血液型、趣味とか好きな映画、最近読んだ本など、思いつく限りの個人情報を交換した。  彼女の住んでいる場所が大学からは俺と反対方向だったので、明日の朝、大学の最寄り駅で待ち合わせすることにして、ようやく終わりにして家に帰った。  帰宅がすごく遅くなってしまったけれど、なんだかとても充実した気分だった。    巳緒も、水野さんと毎日こんな感じで過ごしているのかな。  そんなこともまた、話せるようになると良いな。  互いの恋人の話が普通にできる、友人関係なんて最高じゃね?         
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