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昼食はザンビーニブラザーズで落ち合うことになっていたが、伊藤と智香ちゃんは先に行っているという連絡が来て、俺と巳緒は海底2万マイルに行ってから合流した。
2階の眺めのいい場所に伊藤と智香ちゃんは陣取っていて、昼間っからワインを飲んでいた。
「何、お前らもう酒飲んでんの?」
俺が驚いて訊くと、
「いっぱい歩いて喉乾いちゃってさ〜」
伊藤がえへらと笑う。
もうできあがってないか?
この時間でヤバくね?
「あれっ それお揃いじゃないの?」
巳緒が智香ちゃんのバッグに目を留めて言った。
バッグにキーチェーンのついたダッフィーのぬいぐるみがぶら下がっている。
伊藤がこれ見よがしにテーブルの上に置いているキーホルダーにも同じものが付いていた。
「そうこれ可愛いでしょー」
伊藤がやに下がる。
みっともないぞその顔…
「だってぇ、伊藤ってばお揃いの帽子買おうとか言うんだよぉ。
この暑いのに絶対イヤ!って言ったらこれになったの」
智香ちゃんが口を尖らせる。
問題はそこか?
「だって智香がお揃いのカチューシャもイヤだって言うから…」
「キモイ!」と俺たちは声を揃えて罵倒する。
お前、自分のゴツイ顔に可愛らしい耳のついたカチューシャが似合うとでも思ってるのか?
伊藤は平然と「俺には見えないもん。似合ってなくても関係ないもん」とぬかしやがった。
そりゃお前はそうかもしれないが…はっきり言って犯罪だぞそれ。
食べ終わって外に出ると、少し秋めいているがまだ暑い日差しが照りつけて来た。
4人で写真を撮ろうということになり、精一杯腕を伸ばしてスマホのフレーム内に4人でくっつき収まって撮った。
伊藤が通りがかりの人に頼んで、海をバックに4人で撮ってもらう。
これから先、友達関係がどうなるかわからないけど、いい思い出になるなぁと思った。
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