彰・11-2

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 ビッグバンドビートに当選したから観に行くという二人と別れて、俺と巳緒はファストパスを取っていたセンターオブジアースに向かった。  「智香と伊藤くん、ずいぶん打ち解けてるって言うか、なんかいい感じだったね」  巳緒は歩きながら言った。  「うん…」  と言いかけた時、俺と巳緒のスマホが同時に震えた。  見ると、4人のLINEグループに伊藤が画像を送信してくれている。  先ほどの4人での写真だった。  「あ、俺も自撮りバージョン送ろう」  と壁際に寄って立ち止まり、画像をUPする。   スマホの画像をじっと見ていた巳緒が「智香、伊藤くんのこと好きだよね」と呟いた。  画像の伊藤はしっかり智香ちゃんの肩を抱いている。  智香ちゃんも伊藤に身体を預けるように寄り添っている。  「智香がこういうふうに男の子が近づくのを許すなんて考えられない。  プライド高いし、自分を見せない子だから」  「つきあっちゃえばいいのにな」  俺は、自分も巳緒の肩くらい抱いて撮ればよかったなあと思いながら言った。  寄り添う伊藤と智香ちゃんに比べると、ずいぶんよそよそしいなあ俺たち。  「そうだね…智香が素直になると良いね」  と巳緒は言い、俺たちはしばらく黙って歩いた。  「なあ、巳緒…」  俺が言いかけると巳緒は  「うん。多分、今同じこと考えてる」  と俺の言葉を遮った。  「あたしたちも周りから見たら、智香と伊藤くんみたいに見えてるってことだよね。  あの二人絶対両想いだ、つきあっちゃえばいいのにって」  「うん、そういうこと…」  俺と巳緒が話すだけで、水野さんや詩織ちゃんの嫉妬は凄まじいほどだった。  俺や巳緒がいくら友達と言っても聞く耳を持たなかった。  学部やサークルの友人、先輩後輩も、最初みんな俺たちが付き合ってると思ってた。  今だって事あるごとに言われる。
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