彰・11-2

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 「なんでかなあ。  異性で仲良かったら、友達とは思ってもらえないなんてな。  詩織ちゃんと光咲さんは同性だから、疑似恋愛の関係でも表向きみんなただの仲良しだと思ってる」  「それが世間一般の見方なんでしょうね。  解りやすいものね」  巳緒はため息をつく。  洞窟のような場所に入り、少し涼しくなった。  センターオブジアースの入口が見えてくる。  「俺たちは世間に(あらが)ってやるぞ」  俺が巳緒の方を向いて言うと、巳緒は「そうね」と微笑んだ。  「トラックレスだね。  あたしたちのこれまでも。これからも。」   巳緒が言い、ははっと思わず俺は笑った。    「本当だ。Trackless Pathだな。  道なき道か、その通りだ」  「結婚とか遠そうだよな〜」  「男友達が原因で()き遅れなんて嫌だわ」    巳緒は頰に手をあてて呟く。  そりゃお互い様。
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