巳緒・彰 12‐1

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 昨日はあの後、無事に合流し(巳緒は泣いた後だったのでトイレに行って遅れたが)一緒に夕食を摂って夜のショーと花火を見て帰ってきた。  朝とは明らかに雰囲気の違う智香と伊藤に、彰と巳緒はあてられ気味な感じでビールを飲みすぎてしまった。  帰りの電車の中で、酔っていた彰と巳緒は悪ノリして二人のキスの画像を4人のLINEグループにUPした。  案に相違してなかなか既読がつかず、これってもしかしてふたりで泊まったりしてない…?と顔を見合わせ、なんとなく気まずくなって目を逸らした。    バカみたいだなあ俺ら。うん。  彰が呟いて、巳緒は頷いた。    ふたりが泊まったりせずに各々の家に帰ったことは、伊藤が彰にLINEしてきたことで判った。  伊藤もはっきりとはつきあうとは書いていなかったけど、彰はその文面から漂うラブラブなオーラに、返事する気を失くした。  「あー。いたいた」  と声がして、巳緒と彰がそちらに顔を向けると、伊藤がやってくるところだった。  ダッフィーと鍵のぶら下がったキーチェーンをベルト穴に通しているので、歩くたびにジャラジャラと音がする。  二人は起きあがって伊藤を待つ。  徐々に枯れかけている芝が巳緒の髪についていて、彰はそっと払ってやる。    「よっ!昨日はどーも」  伊藤は二人の横に腰を下ろした。  「(いき)な恰好ね…」  巳緒がジーンズからぶら下がったダッフィーを見ながら言った。  彰は思わず吹き出す。  「あー、やっぱしこれ、ちょっと邪魔だよねえ…  スマホに付け替えるかな」  伊藤もダッフィーを眺めて苦笑する。  「スマホに?女子高生みたい」  と巳緒が言うと、うーんと唸って頭をがりがり掻いた。  「智香ちゃんとはどうすんだよ、つきあうのか?」  彰が訊くと、伊藤は「うん、たぶん」と自信なさそうに言った。  「たぶん?」  巳緒と彰が声を揃えて訊く。  「はぐらかされて、はっきりとは…  だけど俺が告ったら嬉しいって言ったし、キスもしたし」  声が小さくなる。
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