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翌日の朝、俺は清々しい気持ちで目を覚ました。
酒を飲まずに寝ると、こんなに目覚めって気持ちのいいものだったか。
俺は支度をして少し早めに家を出て、爽やかな5月の陽気を感じながら駅まで歩いて行った。
改札を抜けると、大谷さんがいて驚く俺に抱きついてきた。
「おはよう♡待ちきれなくて来ちゃった」
俺を振り仰いで嬉しそうに言う。
彼女から甘い香りが漂ってきて、俺はなんだかドキドキしてしまった。
巳緒とは違う、香り。
「びっくりしたよ、ずいぶん早く家を出たんじゃないの?」
「うん、ママにどうしたの~って訊かれて、彼氏と行くのって言っちゃった」
と言って首をすくめてエヘヘと笑う。
そんな仕草も可愛くて、俺は腕につかまられたまま階段を登りホームに行く。
誰かに見られたら…という考えが一瞬、過ぎるけど、まいいかと思い直した。
カノジョと腕組んで歩いて、何が悪い?
そのまま大学へ行き、昼食を一緒に摂る約束をして別れた。
教室に向かっていると、智香ちゃんがいつの間にか横に並んで歩いている。
「彰くん、今の娘誰?」
目敏い…いつものことだけど。
「誰って…」
彼女と言おうとして、智香ちゃんの表情を見て言葉を飲み込んだ。
智香ちゃんは怒っているような、悲しんでいるような、なんとも言えない表情で俺を見ていた。
「智香ちゃん…?」
「彼女、できたんだぁ。良かったね〜」
急にニコっと笑う。
「うん…」
「巳緒とも普通にしゃべってあげてねっ!
すごく気にしてたんだよ〜」
そう言って教室に走って行ってしまった。
何だろう…あの複雑な表情の意味を図りかねて、俺は立ち止まって見送った。
そしてはっとする。
っていうか、もう彼女ができたことバレた!
巳緒にも筒抜けだ…
早すぎるだろー!
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