彰・1‐3

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 その日の1限は池田先生で、またレポートの課題が出た。  もう勘弁してくれよ~と思うけれど、その分試験がラクなので文句は言えない。  っと。  パソコンないんだよ俺。  巳緒に借りないと。  と思って、はたと気がつく。  ほんっとうに俺って、今まで巳緒に頼っていたんだなあ…  こういうことが、この1週間ちょっとの間に、何度あったか数えきれない。  情けない…  彼女もできたんだし、少しは巳緒から独立しなくっちゃな。  部室に、誰かが置いてっちゃったパソコンがあったんじゃないかな。  大学のPCルームでもいいや。  授業が終わると、俺はとりあえず部室に向かった。  2限目はサボりだ。  単位は去年取れてるし、巳緒につきあって受講してただけだから。  レポートやっちゃおう。  巳緒に頼れないと思うと、自分で何とかしなければという気持ちになった。  俺だって、やればできる子なんだよ。    部室には珍しく誰もいなかった。  『禁・嫌煙』  と堂々と貼ってあるステッカーの通り、今どき有り得ないタバコ吸い放題の部屋だから、いつも誰かが居ることが多いんだけど。  巳緒の彼氏の水野さんも、巳緒と付き合いだしてから、ばったり姿を見せなくなった。  巳緒に会いたさに、部員でもないのに頻繁に顔を出していたみたいで。  泣かせるじゃござんせんか。
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