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彰の機嫌がやったら良い。
いや、機嫌が良いというより、浮かれている。
何を言っても言わなくてもヘラヘラしてて、はっきり言ってキモチワルイ。
まあ、あたしには関係ないことだけど。
あたしはため息をついて、書きかけのスクリプトのバックアップを取り、パソコンをシャットダウンした。
夏合宿までには何とか脱稿しないと。
春には、こんな状況になると思ってなかったから、彰とあたしの二人で脚本を書く!って部員みんなに宣言しちゃったからなぁ。
でもあたし一人になってしまってこの調子では終わるかどうか。
先行き不透明だ。
彰はデートとバイトが忙しいとか言って、殆ど部室に来なくなってしまった。
このスクリプトも一緒に書いていたのに…もうそんなこと忘れちゃったみたい。
この調子じゃあ公演にだって参加するかどうか判んないわ。
あたしは参考にしている文献や脚本を片付けながら、ふと思いついた。
水野さんに相談してみようか。
文芸部だし、英文学部だけど国文学も強そうだし。
よしそうしよう。
あたしはちょっと元気になって、部室を出た。
今日は4限が終わったら、水野さんからの提案で渋谷に行くことになっている。
学生課の掲示板の前で待ち合わせしていたので、先に着いたあたしは、暇つぶしにボードに貼ってあるアルバイトの求人情報を見ていた。
そろそろ、夏休みのバイト探さないとなあ…
球場のビールの売り子さんとかどうかな。
あ、でも神宮かぁ…野外は暑そう。
彰は夏休みどうするんだろう。
今のバイト先でシフト増やすのかな。
春休みはそうしてたし。
思わずのめりこみ真剣に見ていると、後ろからポンと肩を叩かれた。
「バイト探してるの?」
振り向くと水野さんが優しく笑っていた。
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