巳緒・1‐2

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 あたしはそんな智香を睨む。  「智香、彰に言ったでしょ」  「え~?何を~~?」    可愛く首を傾げる智香に、あたしは身を乗り出し顔を近づけて小さな声で低く言う。  「あたしが、水野さんに告られたって」    「ああ!言った言った。  彰くん、何だって?」  智香は興味津々というようにあたしを見た。  あたしは先ほどの怒りが再燃してくるのを感じて、吐き捨てる。  「良かったなーって、ヘラヘラしてた」  「えーっそうなんだぁ、意外」  智香は、本当に意外だというように目を丸くする。  「何が意外?」  「だって、あたしが話したとき、結構ショックって顔してたんだもん。  だからてっきり、彰くんは反対すると思ってた」  智香はパソコンを起動させ、ノートとテキストを広げながら言った。  「えー全然そんな感じじゃなかった!  むしろお勧め、みたいな。  8時に家に来いとか言っといて追い出すしっ」  「まあ、彰くんとしてもフクザツなんじゃない?  彰くんと巳緒って、傍から見ると異常に仲いいけど、付き合ってるわけじゃないんでしょ?」  と優茉が買ってきたらしいパンをかじって咀嚼しながら言う。  「ないない!」  あたしは目の前で手を振る。  優茉は訳知り顔に続けた。  「だから、仲のいい女友達を取られちゃうみたいで寂しいと思ってるけど、それを言っちゃったら、巳緒に引かれるのも判ってるし」    うーん…そうかあ…  あたしは考え込む。
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