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第三話
「ハァ!炎鳥!」
レイカは既に出してあった炎蛇の他に炎の鳥を新たにライカに放った。
「水よ!」
「なっ!キャァァァァアアアア!」
ライカは慌てずに大量の水を出す。その勢いは簡単に屋敷を水浸しにして炎の蛇と鳥は消えてしまった。そして、レイカもこのあまりに強引な出来事に動きを止めてしまい大量の水に流されてしまう。
「ふふん!まずは火の消化ね!」
得意げに言うライカ。
「ゴホッ!ゴホッ!あ、相変わらず随分なことをしてくれるわ!」
レイカは水を少し飲んだのか咳き込みながらも無茶苦茶するライカに責める目を向ける。
「もうやめましょうレイカこれ以上は・・・どうしようもないことだわ。あなただって分かっているんでしょう」
ライカはレイカを説得しようとする。
「分からないわよ。あなたなんかに好きな人ができたことのないあなたにわかる筈がない!」
レイカは静かにそれでもはっきりとライカに話す。
「それは・・・」
ライカは言葉に詰まった。確かに自分には好きな人ができたことはないしもし自分が同じ立場になったら自分はレイカのようにならないと言いきれるだろうか。
答えは否である。確実に自分もなるだろう。
「くらいなさい!雷!」
レイカは動きが止まっているライカに対して雷で攻撃する。
「きゃぁぁぁあああああ!!!」
動きが止まっていたライカはまともに攻撃を受け倒れた。
「私は昔から雷系を始めとして殆どが苦手だったけど油断しているあなたに攻撃が通ってよかったわ」
「うっ」
(体が痺れて動けない)
「私はあなたが羨ましかった。殆どの魔法を勘だけで会得した天才肌のあなたが・・・」
「!!!」
(レイカあなたはそこまで思い詰めていたの。それなのに私は気づかなかった・・・)
近づきながらレイカは話し出したその内容にライカは驚愕し俯いた。
「そんなあなたを見ていると私は自分が嫌になっていた炎や風しか使えない自分が・・・」
「・・・・・・」
「でもね、そんな時に私は彼に出会った。彼がいなければ私はここまで来ることは出来なかったしあなたと並ぶこともなかった。だからこそ、彼は私に取って唯一無二と言っていい程に大切な人」
(彼との間にそんなことが・・・)
ライカは彼との出会いについては知らなかったために驚いた。いや、それだけではなくそこまで悩んでいるとは露程も考えていなかったからである。
「悪いわね、ライカこれで終わりにするわ」
レイカは近づいて止めを刺すために手に剣を呼び出す。そして、剣をライカに向かって振り下ろす。
(う、動いて!こんなところで終わるわけにはいかない!)
ガンッ!
「まだ動けるのね」
ライカは転がりギリギリで攻撃を躱す。
「あ、当たり前でしょう。あなたを止めるために来たんだから負けられないわ」
「そんな体でまだ言うのね」
「何度でも言うわ。あなたを止める!それに、レイカあなたは私を羨ましいと言ったけどさ、私もあなたのことが羨ましかったんだよ」
「え?」
レイカは困惑したライカが何時も元気で活発、そして天才のライカが自分のことが羨ましいと言ったのだから。
「したって、皆レイカの周りにいて頼られてさ、私はそんなあなたが羨ましかった」
「そんなの私はただ教えてほしいと頼まれたから教えただけよ。羨ましがられることなんてしていないわ・・・」
レイカは否定した自分が羨ましがられることはないと。
「レイカ知ってる?」
「何をよ?」
「私に話しかけてくれるのはレイカだけなんだよ?」
何時も元気なライカらしくなく寂し気に話す。
「え?・・・・・・あ」
レイカはそれを聞いて思い返してみる。少し思い返してみて思わず声をだしてしまう。確かに自分以外にライカに話かける人はいなかった。
「自分で言うのもあれだけど私は確かに天才だと思うよ。苦労したことなんて今までなかったからね。でもさ、天才だと言われ続けているうちに気づいたんだよ」
「・・・何に?」
レイカは聞く。
「私の周りには誰もいないって。私はいつの間にか孤独になっていったんだよ」
「・・・・・・」
レイカは言葉を返すことが出来なかった。
レイカ自身も心のどこかでわかっていたのだから。天才と言われても感覚で覚えてしまうライカに誰かに教えることなどまず無理だろう。だから最初はチヤホヤされても段々と離れて行ってしまうのだ。
「だから私はレイカが羨ましい。そして、凄いよ!私は初めて人生で誰かに負けたくないと勝ちたいと努力することの大切さを知った。私は、ここまでこれたのはレイカあなたのお陰だよ」
「ライカ・・・・・・」
「レイカさっき言ったよね。好きな人が出来たことがないのに気持ちがわかるわけがないって」
「ええ、言ったわね」
「確かにあたしには好きな人はできたことがないわ。あなたの気持ちがわからない。でも・・・でもね、もし私たちが逆の立場ならって考えたらきっと私もあなたと同じことをした」
最後の方は涙ながらに話す。
「なら!!「でも!!」」
「でも、あなたも私の立場なら確実に私を止めようとしたんじゃない?」
「それは・・・」
ライカの言葉に詰まるレイカ。
「だから私は負けないあなたの為に!」
ライカは気力だけで立ち上がりそれにレイカは驚いた。
「うそっ!まだ体が痺れている筈なのに!!何で!?」
「あなたを止めるまで何度でも立ち上がるわよ!」
「炎よ!全てを燃やす地獄の炎になりて我が敵を滅せよ!『獄炎竜!!』」
オレンジ色の炎は黒く染まり竜の形へと変わりレイカは放つ。
「くっ!(獄炎竜!本気なのね、レイカ。でも、この場で私も最大の攻撃を放ったら流石にマズイ。なら!!)水よ!全てを飲み込む水の渦よ!荒々しき炎を飲み込み鎮めよ!『水渦!!』」
「これは!」
水の渦がレイカを中心に出来上がり黒い炎の龍を囲みレイカ共々飲み込んで水で炎を消化するように辺り一面に蒸気で辺りは真っ白になった。
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