プロローグ~Side 慎太郎

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君は誰? 俺の何を見て、好きとか言ってるの? 俺がどんな男で、どんなひねくれた性格をしてるか、ちょっとでも知ってんの? あいつは…俺があいつよりチビだったころから、俺が忘れ物をして半泣きになってた頃から、全然俺への態度を変えないんだ。 だから俺は、あいつがいい。 あいつ以外は、いらない。 「今は誰とも付き合うつもりはないから」 心の中の罵詈雑言をおくびにも出さず、俺も定型文を返す。 在学中は若菜の耳に入ることも考えて、意識的に冷たく切り捨ててきた。 でも別に、俺だってわざわざ他人と揉めたい訳ではない。 中学時代の後半からは、若菜に矛先が向くのを避けるために、俺が憎しみを受けるよう言葉を変えた。 高校時代は、間違っても俺がこの状況を嬉しく思っていないと若菜にわからせるために。 もうこれで最後だと思うから、いつもよりは言葉を抑え気味にしてみた。 もし目の前にいるのが、相手の心の声が聞こえる能力のある人だったりしたら、俺は完全に二重人格の人でなしと認定されるに違いないと思う。 別に構わない。 俺が自分の心をそのまま見せるのは、あいつだけ。 …あいつらだけ。 名前も知らないその女をそのまま置き去りにして部活仲間のところに向かっていた俺は、しかし途中で生徒会メンバーに捕まり、担任に捕まり…マナーモードにしていた携帯が震えたと思ったら、健太からメッセージが届いてた。 『どこにいる? もう解散しちゃうけど』 ため息をついて、返信。 『担任に捕まってる。いいよ、解散して』 しょうがない。こうなることを予測して、せめて卒団旅行と思ったんだ。 最後に仲間の顔を見ておきたかったけど、俺のために待たせるのは申し訳ない。
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