衝撃の事実

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高校の頃は毎日のように一緒に音楽室で過ごし、3年間同じクラスだった慎太郎も、同じ大学の法学部に進学している。この大学の看板学部で、入試時点の偏差値は当然一番上だ。 彼も学内オーケストラに入団はしなかったらしいが、詳しい理由は知らない。同じ大学に進学していても、待ち合わせてつるんだりはしない。一緒に何かやると楽しいのはわかってるんだけど、奴と一緒に何かやることの弊害がここにきて大きくなってるから。 入学式の後、偶然会って一緒に帰ったんだけどさ… あいつと一緒にいると、寄ってくる女性が増える。 被害妄想かもしれないけど、俺が一人でいるときに声をかけてくる女性とは全然タイプの違う人が多くて、正直俺には対応不能。 今までも、あいつは年上とか、同級生でもリーダー役を引き受けるようなしっかり者タイプからよく声をかけられてたと思う。 でも、上の学年の女子大生というのは…その中でも自分に自信のあるキャリアっぽい感じの人は、俺には怖い。いや、本気で。 それに、今までは俺がほかの男と一緒にいたら女子は寄ってこなかったと思うんだけど、大学生になると逆に二人でつるんでる方が声をかけやすいみたいで。 二人組の女性に絡まれ続けたので、あえて慎太郎と行動を共にするのはやめようと心に決めたんだった。 サークルはいるの? とか、バイトするの? とか…別に聞かなくてもいいけど、ちょっと聞いてみようかなと思ってたこともいろいろあったんだけど、プライベートを知らない人に聞かれるのも嫌だったから、その日は結局何も話さずに慎太郎と別れたんだった。 連絡先はもちろん知ってるし、慎太郎は俺の引っ越しの荷解きを手伝いに来てくれたから、今の部屋の場所だって知ってる。 けど、用がなければ連絡もしないし会おうとも思わないんだよな。 今までは、俺が川北と一緒にいたいから齋藤を引きずり込むために慎太郎とつるんでた、みたいなところもあったし。 もちろんあいつといるのは楽しいし、二人で行動することだって多かったけど、それだって部の仕事とか生徒会の仕事とか、公式なものから付随したものが多かった。 何の役職も持たない今、慎太郎と会って…何話すんだ? ってのもある。
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