エピローグ

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年が明けてからの大学生活は、後期終了まであっという間だ。 テスト、テスト、テスト…課題提出…またテスト…。 毎日四コマ以上入っているので、それだけの数のテストがあるわけだ。 ヘロヘロになりながら最後のテストを終え、ようやく後期終了。 ずっと真面目にやってきたおかげで、成績もおおむね胸を張って人に言えるレベル。最近の大学は、成績が直接保護者に通知されるのだが、まぁこれなら生活費補助はクリアできるだろう。 一年時からある程度上位につけておくと、教育実習に行くときに希望先が定員オーバーだった場合に優遇されるらしいから、そういう意味でも「よくやった、俺」だ。 全力疾走に近かった、俺の大学一年が無事終わった。 祥子は、当然と言えば当然だけれど、学内選抜にトップで受かって来年度の留学を決めた。 七月出発で11か月間。 行先はカナダのバンクーバー。 5月に予定している、第二回OBオケの本番を終えたら、本格的に渡航準備が始まる。 同時にそれは、俺が一年間の物理的な別れを受け入れるということ。 週末にちょっと帰ってくるとか、そんなことができる場所ではない。時差もあるし、一週間以上の時間と、数十万の旅費を作らないと帰国はできない。 もちろん今だって、毎日会えているわけではないけれど… 何か月もの間、絶対に会えないとわかっているところに、大好きな彼女が行ってしまうことを、俺は受け入れた。 というか、そもそも俺が最終的に祥子の背を押した。 祥子は、高校時代からの夢を現実にする努力をしながらも、最後の最後まで迷ってくれてたんだ。俺と離れることを躊躇して。 だから、俺は『行っておいで』と送り出すことに決めた。 だって、俺を理由にしてこのチャンスを棒に振ったら、いつか祥子が後悔するんじゃないかと思ったから。俺が祥子の後悔の原因になるなんて、まっぴらだ。
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