店長と俺

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店長と俺

今日は、ドライブ。バイトの仲間と。 俺が車を出した。運転もしている。 メンバーは、俺、そして俺の面倒をよく見てくれるいい先輩、それと俺の後輩、そしてもう一人・・・ そう、店長。 俺たちのバイトの店長だ。  今回はこの、四人でドライブに行った時の話です。  俺は居酒屋でバイトをしている。バイトの最初は皿洗いから始まった。次に、皿だけから小鉢を洗わせてもらえるようになった。小鉢は洗いは洗い場のもっとも花形だ、それゆえに神経も使う。 初めて小鉢洗いを任されたとき店長からこういわれた。 「この店に入ったお客さんに喜んでもらえるかどうかは、お前の小鉢洗いで決まる。最初の付けたしを出したときに、その器に有難い言葉でもプリントされていても見ろ。その、器の言葉が気になってお客さんは食事の味なんて、その後ずっと気にならなくなってしまうんだ。だから、小鉢洗いのお前が一生懸命、小鉢を磨いて、その文字の柄が消えるまで磨けるかどうかでこの店のすべてが決まるんだ。よく心得ておけ。」 そのとき俺は、そういう柄がついているのは小鉢じゃなくて湯飲みだろと思ったが、大変重要な仕事を店長から任されことに身が引き締まった。 その後俺は、小鉢洗いを7ヶ月ほど勤めた。 そして、俺のあとに小鉢洗いを引き継ぎ、今それを担当しているのは食洗機である。 最近の俺は、洗い場から、調理場のキュウリを切らせてもらえるようになった。 キュウリを切るときに一番神経を使うのが、キュウリの両端の部分を切るときだ。 切ったキュウリの切れ端の転が包丁にくっついてくるか、それとも転がってコロコロなるかすごく重要だ。  俺は、どうしてもキュウリの切れ端を包丁にくっつけたい。 もしコロコロなってしまうと、その日は転がったキュウリの夢に毎回うなされる。 俺がこんなにキュウリの切り方にこだわるのは、店長のこんな言葉があったからだ。 「キュウリなんて食えりゃいいんだ、適当にやってくれ。」 食器の洗い方にはあれ程こだわって指示を出した店長が、ことキュウリの切り方に関しては俺に全幅の信頼をおいてすべて俺の裁量に任せてくれたのである。 それゆえに、間違いは許されないと店長から良い意味でのプレッシャーを貰った俺は、キュウリ切りに神経を使っている。 俺は、今こんなバイトでこんな仕事をしている。
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