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――翌朝。なんだかけたたましい音で目が覚めた。
「この音は……ヘリだ!」
「ヘリって……救助が来たんでしょうか?」
「そうに違いない。どうにかこちらの位置を知らせないと……」
私達のいる場所は多少開けてはいるが、おそらく上空から見ると木々に紛れてしまうくらいだ。
ライトであるとか発煙筒であるとか、そういったものでこちらから存在をアピールしないと気付いてもらえない可能性があった。
「懐中電灯を空に向けるんだ! あと、何か光を反射するものはないかい?」
「反射……あ、携帯用のミラーならあります!」
ザックから急いで鏡を取り出し、空へ向ける。
ちょうど私達の入る所に太陽光が差す時間なので、結構な反射光が生まれたけれども……これだけでは心もとない。
――私達が必死にアピールしている間も、ヘリは何度か頭上を素通りしていった。やはりもっと目立つ何かがないと駄目なのかもしれない。
「ど、どうしましょう部長!?」
「……よし、奥の手を使おう。君、今から起こることは、皆には内緒だよ?」
部長はにっこりと笑うと、おもむろに帽子を脱ぎ捨て……更には髪の毛まで脱ぎ捨てた。
部長はカツラだったのだ!
カツラの下から現れたのは見事過ぎるハゲ頭!
部長はそのハゲ頭をタオルで何回かキュッキュと音を立てて磨くと、それを空へと向けた。
瞬間――。
「うわっ、眩し!」
太陽光を受けて、部長のハゲ頭が光り輝く。驚くべき反射率だった――。
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