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「なんだ…これ」 思わず息を呑んでしまった。 教師夫婦の妻 昌枝はエプロンを着たまま、ダイニングテーブルの椅子に腰掛け 顔を匂いの残る肉じゃがの器に埋めている。 昌枝の脇腹からダラダラと黒い血が流れて、絨毯を赤く染めている。 部屋は家具やら襖が散乱している。襖には穴が空いていたり、外れて横倒しになっている。 ベランダへ向かう窓に背中を預けて、腹に刺さった包丁の柄を握りしめ 目を見開いている夫 武文がそこに座っている。 武文もまた、黒い血を腹から流していて口角からもダラダラと垂れ流した跡がある。
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