8 スプリング

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「スプリング」の名義は瀬谷から貰った。 奈央子だけのモノだったのに、三田地ハルという二歳下の女が来てから二人の名義になってしまった。 三田地は瀬谷への好意を剥き出しにしていて、事あるごとに彼へくっついていた。 奈央子が瀬谷に密かな恋心を抱いていることに三田地は気づいていて、見せつけるようにしていた。 それに耐えられなくなって、共に行動することは控えていた。クラブに顔を出すのも、三田地が仕事をしている土曜日だけ。 その時間だけ、瀬谷を独り占めできる。 ただ一緒にいるだけでいい。 隣じゃなくても、同じ空間にいればいい。 三田地が来て 良かったことは、瀬谷が奈央子と呼ぶようになったこと。 二人ともハルだから紛らわしいと言っていたけど、瀬谷に名前で呼ばれるだけでも身体中が燃え上がった。
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