KAZUMA

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白い息が引き返せと本能に伝えているように、歩く方向とは反対へ消えていく。風もないのに、不思議な現象だ。

別に、今から一仕事してくるだけだ。

相手はヤクザでもない。

銃も持っていない、戦うこともできない。

無抵抗で、道徳を重んじる教師夫婦じゃないか。

アパートのポストの配列を眺めて、名前を確認した。

ゆっくりと、階段をあがっていく。