プロローグ:水曜日 好きにしてる スーさん

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プロローグ:水曜日 好きにしてる スーさん

好きな人もいれば、嫌いな人もいる。 先週は嫌われモノ、次の週には人気モノ。 ここは誰かにとっての折り返し地点で または中休みと楽しむ地点で 或いは、まだ続く長い道の途中で。 とにもかくにも中途半端な故に、たくさんの感情が入り交じる。 それは、止まることなく泳ぐ── または、揺蕩う──波の水族館。 それがオレの、水曜日。 オレはその感情の波を見ながら、人の波を泳いで生きている。 自分が泳ぎたい方向へ、泳ぎたいように。 人の感情と同じように、どこへ向かうも気分次第。 誰かと仲良くするのも離れるのも、同じ。 その人の波に合わせてみたり、面倒と思えば離れたり。 水曜日を気分次第に思うコトと、同じ。 ただ流されるだけでいるのは、 やっぱり、なんとなーく? おもしろくないような気がして。なんて。 なんとなくといえば、 波間に時折射し込んでくる、柔らかな光。 あの綺麗な光に照らされた中を、泳いでみたい── そんな風に思ったりはする。 今のところ目指している先があるとするなら、そんなところかもしれない。 そんな、おぼろげな日々の中だった。 ほんの偶然で、気まぐれだった。 だって別に、なんてコトはない。 オレと同じくらいの男のコが しゃがみこんで、そこでひたすらじっとしていただけ。 まあ、具合が悪いのかな? とか、 そういう風に見えなくもない……かも、ってのもあったんだけど。 「ねえ──どうしたの?」 気が付いたら、声をかけていた。 気が付いたら──泳ぎを止めていたんだ。
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