5人が本棚に入れています
本棚に追加
プロローグ:土曜日 どんちゃん 3わぐのは誰のドコ? 末っ子
土曜日は、たくさん働ける日。
1週間の中でいちばん稼げる、オレにとって大事な1日。
ちなみに日曜は次の日学校だし、他にも色々とワケあってそんなに働けない。
だからオレにとっては土曜日が何より大事で重要なんだ。
まぁ他にも理由はあるんだけど、それはそのうちってコトで……。
高校生がお休みの日に一日中働くなんてエラいわね、とか。
今のうちしか遊べないんだから、とか。
可哀想──なんて言われたりとか。
そんな他人の感想なんて、どうでもいいし興味ない。好きに言ってればいいんじゃない?
オレにとってはコレが当たり前で、自分で望んでやってるだけ。
オレが生きていくために、家族が幸せになるために。
兄さんたちが、もっと自由になるために。
そのために必要だと、オレが決めたことだから。
だから他人の考えなんて気にならないし、気にするつもりもない。
オレにとっては家族がすべてで、家族全員の幸せがすべて。
それ以上でも、それ以下でもない。
そう思うけど、それがうまくいかなくて。
どうしていいのか、分からなくて……。
でも何もしないワケにはいかない。
きっとオレがひとりで生きていけるようになれば、きっとみんなうまくいく。
だから止まってるヒマなんてない。
働いて働いて、早く一人でも生きていけるようにならないと。
そうやってただひたすらに求めることは、
何も見ないし聞いてない、ただ逃げてることと同じでもあるんだって──
その頃はまだ、分かってなかったんだ。
明るく照らしてくれるものなんて、何もなかったから。
すべてだと思っていたものが、すべてなワケじゃなかったから。
最初のコメントを投稿しよう!