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「え、いっちゃんも行くの!?」 「うん、中が気になるから」  一之進は新御座所の違和感が何なのかを早く解明したくてしょうがなかった。中に入れば何かわかる気がしたのだ。 「二人が行くなら行こうかな」  渋々靴を脱ぎ出す勝。  一番先頭を歩く俊太に続き、一之進と勝は辺りを見回しながらゆっくりと奥へ進んだ。誰かが掃除をしているのだろう。塵一つなく、生活感が感じられない。無駄な物を全て排除したような屋敷だった。 「うわ!」  角を曲がった俊太が大声を上げる。顔を見合せた一之進と勝が急いで俊太の元へと向かった。  すると俊太の目の前に、そう年齢の変わらない着物姿の男の子が立っていた。着物を着た子どもは珍しかったので、よくわからないが御曹司とかそういう類いに属されるのかなと、一之進は勝手な想像をした。 「ご、ごめんなさい!」  俊太はそう叫ぶとすぐに一之進と勝の間をこじ開けるように割り込み、彼らの後ろに隠れた。  その姿を見た男の子はからからとした軽やかな笑い声を上げる。恐る恐る二人の間から顔をのぞかせる俊太。 「ごめんなさい、怒ってないですか?」 「怒ってないよ」  少年は穏やかな波のようにゆらゆらと、それなのに力のある調子で答えた。
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