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「すぐに帰るので、学校とか家に連絡はやめてもらえますか?」
抜かりない勝。
「帰らなくていいよ」
「え?」
「暇してたんだ。一緒に遊ぼうよ。僕も小学生なんだ」
「……学校どこ?」
一之進が尋ねる。年齢はそう変わらないように見えるし、ここに住んでいるなら同じ小学校のはず。そんな大きな学校ではないし、何年も同じ小学校にいて顔も見たことがないというのは考えにくい。しかし、少なくとも、同じ小学校でこの少年を見かけたことはなかった。
「……行ってない」
「何で?」
「こう見えて病気療養中なんだ。小学校には行かないで、家で家庭教師の先生に教わってる。だから学校には行ってない」
確かに少年は、家から一歩も出たことがないような肌の白さではあった。雪よりも白く透明感があり、手を伸ばせば心臓を通り抜けてしまいそうなほど儚く見える。
だが、頬は紅潮してふっくらしており、決して不健康そうというわけでもなかった。一之進は首をかしげ違和感を探る。
「何年生?」
「六年生だよ」
「何だ、俺らと一緒じゃん!」
俊太は先ほどまでの怯えが嘘だったかのようにぱあっと表情を輝かせた。
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